コーチになるにはどうすればいいですか?
日本に国家資格はないため、制度上は誰でもコーチを名乗れます。そのぶん、力量の差は訓練とスーパービジョンの質にそのまま現れます。現実的な順路は、理論を学ぶ、練習相手を確保して実践量を積む、継続的に事例を検討してもらう、そのうえで対価を得る、という段取りです。
制度としての前提
日本にコーチングの国家資格はありません。医師や公認心理師のような名称独占もないため、明日から「コーチです」と名乗ること自体は違法ではありません。
だからこそ、名乗れることと務まることの距離が大きい仕事です。制度が質を担保しない以上、質を担保するのは訓練の中身と、自分で自分を点検し続ける仕組みになります。本サイトでは特定の団体や講座を推奨しません。公的な物差しが存在しないためです。
現実的な4つの段取り
1. 理論の土台をつくる
コーチングの定義と範囲、目標設定の考え方、自己決定理論などの背景理論、倫理と守秘の枠組み。ここは書籍と公開資料で相当進められます(コーチングは独学で学べますか?)。
2. 練習量を確保する
技能は読んで身につくものではありません。学ぶ仲間と20分ずつ聞き合う、同意を得て録音し自分の発話量を数える、といった地道な反復が効きます。目標は「うまく話す」ではなく「話しすぎない」ことです。
3. 事例を見てもらう
自分の癖は自分では見えません。経験のある指導者に事例を検討してもらうスーパービジョンを、単発ではなく継続で組み込みます。ここを飛ばした人ほど、難しいケースで独りよがりな判断をしがちだと指摘されます。
4. 対価を得る段階に進む
有償で提供するなら、契約書、キャンセル規定、守秘の範囲、範囲外だと判断したときの対応を、あらかじめ文書で決めておきます。料金の考え方はコーチングの料金相場にまとめました。
学ぶ場を選ぶときに聞くこと
講座や団体を検討する段階で、そのまま口に出せる質問を挙げておきます。
- 「実技の練習時間は、全体の何割ですか。誰にフィードバックしてもらえますか?」
- 「修了後、スーパービジョンを受け続ける仕組みはありますか。費用はどうなりますか?」
- 「この講座で扱わない範囲は、どこですか?」
- 「受講生が自分のサービスを販売することを、勧誘の条件にしていませんか?」
最後の問いは重要です。受講生の集客が事業の中心になっている場を選ぶと、学びより販売の訓練になってしまうことがあります。
向き不向きについて
「話を聞くのが好き」は出発点として悪くありませんが、それだけでは足りません。むしろ必要なのは、助言したくなる気持ちを抑えられること、答えが出ない時間に耐えられること、そして自分の限界を認めて他につなげることです。
言えること/言えないこと
言えること:資格の有無より、訓練量・実践量・継続的な事例検討が力量を決めます。
言えないこと:どの資格を取れば仕事になるとは言えません。収入の見通しも人によって大きく異なり、一般化できる数字はありません。「短期間で高収入」を掲げる養成講座には、その根拠を必ず確認してください。
