その強みを、いまの課題にどう使えそうですか?
この質問のねらい
強みを見つけただけでは、状況は変わりません。強み探しが自己紹介の材料づくりで終わってしまうのは、実務でよくある失敗です。この質問は、発見と行動をつなぐ最後の一手として置かれます。
「どう使えそうですか」という言い方も意図的です。「使ってください」と指示せず、可能性を尋ねる形にすることで、方法の設計を本人に残します。深さ7の行動レベルの質問ですが、押しつけにならない形をとっています。
使いどころ
- 強みの話が出たあと、セッションを行動で締めたいとき
- 目標は決まっているのに、進め方が思いつかないとき
- 部下との1on1で、本人のやり方を尊重しながら前に進めたいとき
一方で、強みが十分に具体化されていない段階では使えません。「コミュニケーション力」といった抽象語のままでは、転用のしようがないからです。先に「その強みを使っていた場面では、具体的に何をしていましたか」と行動に落としてください。
また、課題そのものが強みで解けない種類のこともあります。制度上の制約や、他者の判断待ちの案件がその例です。無理に結びつけると、精神論に聞こえます。使えないと判断できたことも、一つの成果です。
言い方のバリエーション
- 「その強みを一番使えそうな場面は、今週のどこですか?」(機会を特定する)
- 「同じやり方を、この件に持ち込むとしたら何から始めますか?」(過去の方法を転用する)
- 「その強みを持っている人なら、この状況でどう動くでしょう?」(三人称にして距離を取る)
- 「5%だけでも使えるとしたら、どの部分に使いますか?」(規模を小さくする)
背景にある考え方
ポジティブ心理学の介入研究では、自分の強みを新しい場面で意図的に使う取り組みが、well-being の指標と関連すると報告されています。ただし効果の大きさには幅があり、条件によって結果が異なるという指摘もあります。
社会的認知理論の観点では、過去に達成した行動を新しい状況に適用できるという見通しが、自己効力感を支えます。すでに持っている方法を使うのであれば、まったく新しい行動を始めるより着手のハードルは低くなります。強みを称賛するためではなく、着手を軽くするための質問だと考えると使い方を誤りにくくなります。
階層7・行動 現実の一歩に落とす層。小ささが継続を生む。
- 最初の一手は、いつ、どこでやりますか?
- それを使ったとき、まわりにはどう見えますか?
- うまくいかなかったら、どこで切り替えますか?
