いま、いちばん困っていることは何ですか?
この質問のねらい
いくつもある課題の中から、本人にとっての優先順位を出してもらう質問です。聞き手が課題を推測して並べるより、当人が「いちばん」と選んだものから入るほうが、話は早く核心に届きます。
「困っている」という言葉づかいも重要です。「問題は何ですか」より責任追及の色が薄く、答えても責められない感じが残ります。
使いどころ
- 相談の入り口。何から話すか決まっていないとき
- 業務量や体制の話が背景にありそうなとき
- 初回の面談で、まず現状を共有したいとき
効きにくいのは、相手がまだ状況を整理できていないときです。「いちばん」と絞らせると、答えが出ないまま沈黙になります。その場合は「いま抱えていることを、思いつくまま挙げてもらえますか」と広げるほうが進みます。強い不調やつらさが語られたときは、質問を重ねずに聞き役に徹し、必要に応じて産業医や専門機関につないでください。
評価する立場の上司が聞くと、「困っている=力不足」と受け取られる構造があります。内容を評価に持ち込まないことを先に言葉にしてください。何も出てこないのは相手の問題ではなく、関係と場の設計の問題です。
言い方のバリエーション
- 「いま、いちばん時間と気力を取られていることは何ですか?」(負荷から入る)
- 「うまくいっていないと感じていることを、ひとつ挙げるとしたら?」(絞る)
- 「解決しなくていいので、引っかかっていることを教えてもらえますか?」(解決を急がない)
- 「困りごとというほどではなくても、気になっていることはありますか?」(ハードルを下げる)
背景にある考え方
解決志向のアプローチでは、問題を細かく分析することよりも、困りごとの中で「例外」(うまくいっている部分)を見つけることを重視します。まず困りごとを共有し、そのうえで「まだなんとかなっている部分」に目を向けると、対話が原因追及に固定されにくいと言われます。
なお、困りごとを話せるかどうかは個人の性格より場の安全さに左右されます。Edmondson が示した心理的安全性の議論はここに関わります。
この質問の深さ
階層1・事実 何が起きたのかを共有する。前提をそろえる層。
続けて聞く(深掘りの質問)
- それはいつごろから続いていますか?
- 困っている中でも、まだなんとかなっている部分はどこですか?
- どこがほどけたら、少し楽になりそうですか?
