それが達成できたと、何を見たらわかりますか?
この質問のねらい
目標は、言葉にした時点ではまだ気持ちの表明であることが少なくありません。この質問は、その目標を観察できる事実に翻訳するためのものです。
「何を見たら」という言い方がポイントです。「どうなったら」だと感覚の話に戻りがちですが、「見たら」と尋ねると、行動・数値・相手の反応など、外から確認できるものが出てきます。達成の基準が共有されていれば、後日の振り返りが評価ではなく確認の作業になります。
使いどころ
- 目標を立てた直後、言葉が抽象的なままのとき
- 「もっと頑張る」「改善する」といった表現が出たとき
- 依頼や委任の場面で、完了の状態をそろえたいとき
- 中間の振り返りで、進み具合の物差しが必要になったとき
注意したいのは、測れるものだけが目標になってしまう危険です。関係づくりや学びのように数値化しにくいテーマでは、無理に指標化すると本質が抜け落ちます。その場合は「誰の、どんな様子が変わっていたら」と、観察できる場面の描写に寄せてください。また、詰めるように連続で聞くと点検に変わります。1回で十分です。
言い方のバリエーション
- 「達成できたとき、まわりからは何が見えていますか?」(第三者の視点)
- 「その状態を写真に撮るとしたら、何が写っていますか?」(映像にする)
- 「終わったと判断する材料は何でしょう?」(依頼の場面で)
- 「途中でうまく進んでいるサインは何ですか?」(先行指標を探す)
避けたい聞き方との違い
「ちゃんとやっておいて」は、基準を相手に丸投げしたまま結果だけを求める言い方です。何をもって「ちゃんと」なのかは人によって違うため、後になって食い違いが起き、責任は受け手側に残ります。
「何を見たらわかりますか?」は、その基準を先に一緒に決める問いです。合意した基準があれば、後の会話は「できた・できない」の断罪ではなく、事実の突き合わせになります。
背景にある考え方
目標設定理論では、具体的で明確な目標のほうが曖昧な目標より行動につながりやすいと報告されています。SMARTのような枠組みが広く使われるのも、測定可能性が進捗の確認を助けるためです。
ただし、測定できることと重要であることは別だという指摘もあります。指標は目標そのものではなく、目標に近づいているかを知るための手がかりとして扱うのが穏当でしょう。
階層1・事実 何が起きたのかを共有する。前提をそろえる層。
- それは、いつの時点で確認できますか?
- あなた以外の人が見ても、同じように判断できそうですか?
- 途中経過を測るとしたら、何を見ますか?
言い換えの例
| 避けたい聞き方 | この質問に言い換える |
|---|---|
| ちゃんとやっておいて | それが達成できたと、何を見たらわかりますか? |
