質問大全

その1点を上げるには、何が起きればいいですか?

ひとことで言うと

「その1点を上げるには、何が起きればいいですか?」は、スケーリングの点数を具体的な一歩に変える質問です。使いどころと注意点を解説します。

この質問のねらい

スケーリングで点数を出したあと、多くの人は「10点にするには」と考えてしまいます。それでは距離が遠すぎて、答えは精神論に流れます。この質問は、目標地点をあえて1点分に限定します。

1点であれば、思いつくのは大改革ではなく具体的な動作です。「週に一度だけ相談の時間をとる」「資料を一枚にまとめる」といった、今週中に扱える大きさの答えが出やすくなります。

使いどころ

  • スケーリングの直後、点数の意味を行動につなげたいとき
  • 課題が大きすぎて、どこから手をつけるか決まらないとき
  • 行き詰まりの沈黙が続き、話題の転換が必要なとき
  • 中間の振り返りで、次の期間の焦点を絞りたいとき

効きにくい場面もあります。点数が本人の裁量の外の要因で決まっている場合、いくら考えても自分に打てる手が出てきません。異動や組織再編を待つしかない状況などがこれにあたります。そのときは「点数は変わらないとして、その中で違うふうにできることは何ですか」と、問い方を切り替えるほうが誠実です。また、答えを急かすと本人の案ではなく聞き手の案を取りにいく会話になります。沈黙を待ってください。

言い方のバリエーション

  • 「あと1点だけ上がるとしたら、何が違っていますか?」(差分で聞く)
  • 「0.5点でもいいとしたら、どうでしょう?」(さらに小さく)
  • 「1点上がった日は、朝から何をしていますか?」(一日を描く)
  • 「他の人がその1点を上げるとしたら、何をしそうですか?」(視点を借りる)

背景にある考え方

解決志向アプローチでは、小さな変化が次の変化を呼ぶという見方をとります。全体を一度に解決しようとせず、次の一目盛りに集中することが、実行可能な計画につながると言われています。

社会的認知理論の観点でも、達成できる範囲の目標をこなす経験が自己効力感を支えるとされます。1点分という限定は、その「できた」を作りやすくするための工夫だと考えられます。ただし、小さな一歩が常に大きな変化に育つとは限りません。積み上がらない場合は、目標そのものを見直す判断も必要です。

会話の流れ(例):この質問から行動まで
  1. 1聞くその1点を上げるには、何が起きればいいですか?
  2. 2深めるそのうち、自分で起こせることはどれですか?
  3. 3広げるそれが起きるのに必要な準備は何でしょう?
  4. 4決めるでは、最初の小さな一歩は何にしますか?

答えを急がず、相手の言葉を受けとめてから次へ進みます。沈黙は考えている時間です。

つまずきやすい例

つまずき「1点上げるには?」を、点数の低さを責めるような口調で聞いてしまう。

なぜ?点数を上げる問いは、言い方しだいで「なぜ低いのか」と同じに聞こえるからです。

こうする先に「その点数の中で、すでにできていることは?」と聞き、それから1点上げる方法を考えます。

この質問の深さ

階層7・行動 現実の一歩に落とす層。小ささが継続を生む。

続けて聞く(深掘りの質問)
  • そのうち、自分で起こせることはどれですか?
  • それが起きるのに必要な準備は何でしょう?
  • 1点上がったと気づくのは、何を見たときですか?

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