最近、どんな仕事に手応えを感じましたか?
この質問のねらい
うまくいっていることを、事実として言葉にしてもらう質問です。階層でいえば1(事実)にあたり、答えやすさが最大の利点です。
課題から始まる面談は、相手を守りの姿勢にしがちです。まず「できていること」を確認しておくと、そのあとの課題の話も落ち着いて扱えます。本人が無意識にやっている工夫が言語化されるのも、この質問の副産物です。
使いどころ
- 1on1の冒頭、話題を決める前の入り口として
- 期の途中の振り返りで、進捗確認の前に
- 本人の強みの手がかりを探したいとき
一方で、成果が出ていない時期に繰り返すと、相手を追い詰めます。「手応えなんてありません」と答えざるを得ない状況では、「最近、いちばん時間を使ったのは何ですか」といった中立な聞き方に切り替えてください。
評価者である上司が聞くと、部下は「加点材料を探されている」と受け取り、盛って答えることがあります。この場で聞いた内容を評価には使わないと先に伝えるだけで、答えの精度は変わります。答えが出てこないのは相手の準備不足ではなく、関係と場の設計の問題だと考えるほうが建設的です。
言い方のバリエーション
- 「この1か月で、やってよかったなと思えた仕事はありますか?」(期間を区切る)
- 「小さいことでかまわないのですが、うまく運んだことはありますか?」(ハードルを下げる)
- 「まわりから見えにくいけれど、うまくやれたことってありますか?」(見えない努力に光を当てる)
- 「手応えというほどでなくても、悪くなかったことは?」(言葉をゆるめる)
背景にある考え方
仕事への活力・熱意・没頭をワーク・エンゲイジメントと呼び、Schaufeli らの研究で測定が進められてきました。エンゲイジメントは資源(裁量、支援、成長実感など)と関係が深いと報告されており、「どんなときに手応えがあったか」は、その人にとっての資源を探す手がかりになります。
ただし、一度の対話で活力が上がると考えるのは早計です。この質問は診断ではなく、対話の入り口として扱ってください。
この質問の深さ
階層1・事実 何が起きたのかを共有する。前提をそろえる層。
続けて聞く(深掘りの質問)
- そのとき、具体的に何をしたのですか?
- 手応えを感じたのは、どの瞬間でしたか?
- 同じ手応えを、次はどこで再現できそうですか?
