最初の一歩として、何ができそうですか?
「最初の一歩として、何ができそうですか?」は、考えを行動につなぐ質問です。使いどころ、続けて聞く深掘り、注意点を解説します。
この質問のねらい
対話がどれだけ深まっても、行動が変わらなければ状況は動きません。この質問は、話し合った内容を現実の動作に変換する役割を担います。
「できそうですか」という語尾が重要です。「何をしますか」だと約束を迫る響きになりますが、「できそう」と尋ねると、本人が実現可能性を見積もりながら答えられます。無理のない一歩のほうが、実際には踏まれやすいと言われています。
使いどころ
- セッションの終盤、話を行動に接続するとき
- 考えが整理されたのに、着手されていないとき
- 大きな目標を前にして、手がかりが見えないとき
- 不安が先に立って動けないとき
効きにくいのは、まだ何をしたいのかが定まっていない段階です。方向が決まる前に一歩を尋ねると、とりあえずの行動が並び、実行されません。また、この質問を毎回の締めとして機械的に使うと、行動を報告する義務のような空気が生まれます。「今回は考えるだけにする」という選択も認めてください。
言い方のバリエーション
- 「明日ひとつだけやるとしたら、何ですか?」(期間を絞る)
- 「5分でできることがあるとしたら?」(分量を絞る)
- 「準備として、先にやっておくことはありますか?」(前段に寄せる)
- 「気が進まないなら、やらない選択も含めてどうしますか?」(強制しない)
背景にある考え方
Bandura の社会的認知理論では、行動を左右する要因として自己効力感、つまり「自分にはできそうだ」という見通しが重視されます。その見通しを支える最大の情報源は、実際にできた経験だとされています。
つまり、最初の一歩を小さく設定することは妥協ではなく、次の行動のための材料づくりだと考えられます。不安が強い場面では、不安を消してから動くのではなく、動ける大きさまで課題を縮めるほうが現実的だという指摘もあります。ただし、一歩を踏めば必ず続くわけではありません。続かないときは、意欲ではなく設計を見直してください。
- 1聞く最初の一歩として、何ができそうですか?
- 2深めるそれは、いつやりますか?
- 3広げるやるとしたら、何が必要ですか?
- 4決めるでは、最初の小さな一歩は何にしますか?
答えを急がず、相手の言葉を受けとめてから次へ進みます。沈黙は考えている時間です。
つまずきやすい例
つまずき一歩を聞いたのに、聞き手が「まずはこれをやって」と先に決めてしまう。
なぜ?自分で決めた一歩のほうが実行されやすいからです。
こうする候補をいくつか本人に出してもらい、その中から選んでもらいます。
階層7・行動 現実の一歩に落とす層。小ささが継続を生む。
- それは、いつやりますか?
- やるとしたら、何が必要ですか?
- どのくらいできそうだと感じますか(10点満点で)?
この質問は書籍『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』第4章「不安をモチベーションに変えて一歩を踏み出す」の考え方にもとづいています。→ 書籍について
