他に、どんな選択肢がありますか?
二択に見えている場面で、検討の幅を広げる質問です。使いどころ、避けたい聞き方との違い、背景の考え方を解説します。
この質問のねらい
「AかBか」で固まった検討を、いったん開き直すための質問です。迷いが深いときほど選択肢は二つに絞られて見えますが、多くの場合、その二つ以外にも案は存在します。
出てくる案がすべて有効である必要はありません。三つ目、四つ目を並べる作業そのものが、最初の二択を相対化します。生成AIに相談する場面でも、答えを一つ受け取って終わらせず、別案を出させることで検討の幅が保たれます。
使いどころ
- 二択で行き詰まっているとき
- 前例どおりの案しか出ていない会議
- 意思決定の前に、検討の抜けを確認したいとき
一方で、すでに十分な選択肢があり、決めきれずにいる場面には向きません。選択肢を増やすことは、決められない状態を長引かせます。締め切りが迫っている場面でも同様です。そのときは絞る質問に切り替えてください。
なお、案が出てこないことは能力の問題とは限りません。情報が足りない、権限がない、といった条件が原因のこともあります。
言い方のバリエーション
- 「あと三つ、無理やり挙げるとしたら何がありますか」(数を指定する)
- 「やらない、という選択肢はどうですか」(不作為も案に入れる)
- 「予算や人員の制約がないとしたら、何ができますか」(制約を外す)
- 「別の部署の人なら、どんな案を出しそうですか」(視点を移す)
避けたい聞き方との違い
「普通はこうするよね?」は、質問の形をとった答えの提示です。聞き手の中にすでに正解があり、相手は同意する以外の選択肢を持ちません。別案があったとしても、この後で出てくることはまずありません。
「他に、どんな選択肢がありますか?」は、聞き手が答えを持っていないことが前提です。持っているなら、質問の形にせず「私はこう考えます」と伝えるほうが誠実です。
背景にある考え方
意思決定の場面では、最初に思いついた案に判断が引きずられやすいことが知られています。Kahneman は、利用しやすい情報に依存した判断の偏りについて論じています。選択肢を意識的に増やす作業は、その偏りを緩める手立ての一つです。
一方で、選択肢が多いほど良い決定になるとは限りません。数が増えると比較の負荷が上がり、決定が先送りされることもあります。広げたあとに絞る手順を、あらかじめ用意しておくことが実際的です。
- 1聞く他に、どんな選択肢がありますか?
- 2深めるそれぞれの選択肢で、失うものは何ですか?
- 3広げる現実的でないものも含めると、ほかに何がありますか?
- 4決めるでは、最初の小さな一歩は何にしますか?
答えを急がず、相手の言葉を受けとめてから次へ進みます。沈黙は考えている時間です。
つまずきやすい例
つまずき「ほかの選択肢は?」と聞いて、出てきた案をその場で一つずつ評価してしまう。
なぜ?評価しながら聞くと、新しい案が出てこなくなるからです。
こうするまず評価せずに数を出し、出し終わってから一緒に比べます。
階層6・未来 望ましい状態を描く層。可能性にフォーカスする。
- それぞれの選択肢で、失うものは何ですか?
- 現実的でないものも含めると、ほかに何がありますか?
- 立場の違う人なら、どんな案を出しそうですか?
言い換えの例
| 避けたい聞き方 | この質問に言い換える |
|---|---|
| 普通はこうするよね? | 他に、どんな選択肢がありますか? |
この質問は書籍『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』序章「生成AIの答えの質を多角的な視点から高める質問」の考え方にもとづいています。→ 書籍について
