質問大全

何が難しかったですか?

この質問のねらい

うまくいかなかった理由を、課題の側の性質として語ってもらう質問です。主語が「あなた」ではなく「何が」なので、能力の話に落ちにくくなります。

階層は2(認識)。難しさの中身がわかると、次に必要なのが練習なのか、情報なのか、体制なのかが分かれます。「難しかった」で終わらせず、どこが難しかったのかまで届かせるのが要点です。

使いどころ

  • 案件やプロジェクトの振り返り
  • 期待した成果に届かなかったとき
  • 新しい業務を任せた直後のフォロー

効きにくいのは、難しさが本人にとって明らかに自分の落ち度であるときです。取り繕う余地を与えると、かえって話が濁ります。その場合は事実の確認を先にし、対処を決めてから振り返りに戻すほうが早いことがあります。

上司が聞くと、「難しかった」と答えること自体が力不足の申告に見える構造があります。この振り返りを評価に使わないと先に伝えてください。難しさが出てこないのは相手の問題ではなく、関係と場の設計の問題です。

言い方のバリエーション

  • 「どのあたりで手が止まりましたか?」(場所を特定する)
  • 「思っていたのと違ったのは、どこでしたか?」(想定とのずれから)
  • 「もう一度やるとしたら、どこに時間をかけますか?」(次に向ける)
  • 「同じ仕事を後輩に渡すなら、どこを注意しますか?」(立場を変える)

避けたい聞き方との違い

「なんでできなかったの?」は、できなかったことを確定させたうえで理由を求めます。相手に残された選択肢は謝罪か言い訳で、どちらを選んでも次に活きる情報は出ません。

さらに、この聞き方は答えを一方向に誘導します。原因を本人の中に探させるため、体制や情報の不足といった外側の要因が出てこなくなります。「何が」に変えるだけで、探す場所が広がります。誘導する質問と、可能性を引き出す質問の違いはここにあります。

背景にある考え方

Kluger と DeNisi のレビューでは、フィードバックが人そのものに向くと、成果を下げる場合があることが報告されています。課題の性質に向けた振り返りのほうが、次の行動に結びつきやすいという含意があります。

また、失敗を率直に扱えるかどうかは場の安全さに左右されます。難しさが共有されないチームでは、同じ難しさが人を変えて繰り返されると考えられます。

この質問の深さ

階層2・認識 その出来事をどう捉えているかを言葉にする層。

続けて聞く(深掘りの質問)
  • その難しさは、どこから来ていたと思いますか?
  • 難しい中でも、うまく運んだ部分はありましたか?
  • 次に似た場面が来たら、何を変えますか?

言い換えの例

避けたい聞き方この質問に言い換える
なんでできなかったの?何が難しかったですか?

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この質問は書籍『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』第2章「『誘導』と『可能性を引き出す』質問の違い」の考え方にもとづいています。→ 書籍について

『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』書影

もっと体系的に「問う力」を学ぶ

本サイトの原点は、書籍『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』(徳吉陽河 著・総合法令出版)です。質問の背景にある理論と実践を、順を追って学べます。

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