どうなっていたら理想的ですか?
「どうなっていたら理想的ですか?」は、制約をいったん外して望ましい状態を描く質問です。使いどころ、続けて聞く深掘り、注意点を解説します。
この質問のねらい
問題の話をしていると、話題は「何がうまくいっていないか」に集まります。この質問は視点を反対側に置き直し、望ましい状態のほうから現状を見るための問いです。
「理想的」という語には、実現可能性をいったん脇に置く許可が含まれています。できるかどうかの検討を先にすると発想が縮みますが、先に絵を描いてから制約を戻すと、選べる道が増えると言われています。
使いどころ
- 目標設定の入り口。まだ目標が言葉になっていないとき
- 問題の描写が長く続き、話が堂々めぐりになっているとき
- 「とにかく忙しい」「なんとかしたい」といった漠然とした相談
- 会議で対策案ばかりが並び、目指す姿が共有されていないとき
一方で、強い不安や疲弊のさなかには効きにくい質問です。余裕がないときに理想を尋ねると、現状とのギャップだけが際立ち、かえって落ち込みにつながることがあります。そうした場面では先に事実(1)や感情(3)の層を扱うほうが安全です。心身の不調が疑われるときは、専門機関につなぐことを優先してください。
言い方のバリエーション
- 「うまくいっているとしたら、どんな状態でしょう?」(軽くする)
- 「制約が何もないとしたら、どうしますか?」(枠を外す)
- 「1年後、いちばんいい形で進んでいたら、何が変わっていますか?」(時間を置く)
- 「そのとき、あなたは何をしているところでしょう?」(映像にする)
背景にある考え方
解決志向アプローチでは、問題の原因を掘り下げなくても、望ましい未来を具体的に描くことが変化の手がかりになると考えます。de Shazer や Berg が示したミラクル・クエスチョンは、その代表的な形式です。
また目標設定理論では、漠然とした目標より具体的な目標のほうが行動につながりやすいと報告されています。この質問はまず輪郭を描く段階を担い、具体化はそのあとの問いに引き継ぐ、という順番で使うと機能しやすいでしょう。
- 1聞くどうなっていたら理想的ですか?
- 2深めるその状態になっているとき、まわりの人には何が見えていますか?
- 3広げる理想のうち、いちばん外せない要素はどれですか?
- 4決めるでは、最初の小さな一歩は何にしますか?
答えを急がず、相手の言葉を受けとめてから次へ進みます。沈黙は考えている時間です。
つまずきやすい例
つまずき理想を聞いて、相手が言いにくそうにしているのに「遠慮せずに」と押してしまう。
なぜ?理想を話すのが照れくさい、現実離れして恥ずかしいと感じる人もいるからです。
こうする「たとえば明日の朝、何が違っていたら嬉しい?」と身近な理想から聞きます。
階層6・未来 望ましい状態を描く層。可能性にフォーカスする。
- その状態になっているとき、まわりの人には何が見えていますか?
- 理想のうち、いちばん外せない要素はどれですか?
- いまの状態と理想のあいだにある差は、どこにありますか?
