いまの目標は、誰の目標ですか?
「いまの目標は、誰の目標ですか?」は、目標の持ち主を確かめる質問です。使いどころ、続けて聞く深掘り、注意点を解説します。
この質問のねらい
目標が進まない理由は、能力や時間の不足だけとは限りません。そもそも自分の目標になっていないという場合があります。この質問は、目標の持ち主が誰なのかを確かめます。
責める問いに聞こえないことが大切です。狙いは「他人の目標だからやめよう」ではなく、与えられた目標の中に自分が引き受けられる部分を見つけることにあります。全部が自分の目標である必要はありません。
使いどころ
- 目標を語る言葉が借り物のように聞こえるとき
- 「やらないといけないのはわかっているのですが」が続くとき
- 異動・昇進など、役割が先に決まった状況のキャリア面談
- セルフワークで、行動が続かない理由を探るとき
効きにくいのは、関係がまだ浅い段階です。意味の層(4)に触れる質問なので、事実や状況の共有を飛ばすと詮索に聞こえます。また、組織目標が動かせない前提の場では、答えても状況が変わらない徒労感を生むことがあります。その場合は「その中でどこを自分で決められますか」と、裁量の範囲に絞るほうが実りがあります。
言い方のバリエーション
- 「この目標は、どこから来たものでしょう?」(出どころを尋ねる)
- 「自分で決めた部分と、決まっていた部分はどこですか?」(切り分ける)
- 「もし誰にも報告しなくていいとしたら、それでもやりますか?」(外圧を外す)
- 「この中で、いちばん納得している部分はどこですか?」(肯定から入る)
背景にある考え方
自己決定理論では、動機づけを外発的か内発的かの二分ではなく、外から与えられたものをどれだけ自分のものとして取り込めているか(内在化)の連続体として捉えます。Deci と Ryan は、自律性・有能感・関係性が満たされるほど内在化が進みやすいと述べています。
つまり、与えられた目標であっても、自分の言葉に置き換えたり裁量の範囲を確かめたりすることで、持続しやすくなる可能性があります。この質問は、その置き換えの入り口だと考えると位置づけがはっきりします。
- 1聞くいまの目標は、誰の目標ですか?
- 2深めるその目標の中で、自分でも納得できている部分はどこですか?
- 3広げる自分の言葉で言い直すとしたら、どうなりますか?
- 4決めるでは、最初の小さな一歩は何にしますか?
答えを急がず、相手の言葉を受けとめてから次へ進みます。沈黙は考えている時間です。
つまずきやすい例
つまずき「それは誰の目標?」と聞いて、会社の目標であることを否定的に扱ってしまう。
なぜ?組織の目標を持つこと自体は悪いことではないからです。
こうする「その目標の中で、あなた自身が大切にしたい部分は?」と、自分ごとにできる部分を探します。
階層4・意味 その経験が本人にとって何を意味するのかを探る層。
- その目標の中で、自分でも納得できている部分はどこですか?
- 自分の言葉で言い直すとしたら、どうなりますか?
- 誰の期待に応えようとしているのでしょう?
