チャンクダウン・チャンクアップ(Chunking Down / Chunking Up)
話の粒度を意図的に動かす質問の使い分け。具体へ下ろすのがチャンクダウン、抽象や目的へ上げるのがチャンクアップで、行き詰まりの打開に使われます。
どういう意味か
チャンク(chunk)は「かたまり」を意味します。話には粒度があり、「チームを良くしたい」は大きなかたまり、「来週の定例で最初の5分を共有に使う」は小さなかたまりです。
対話が進まないとき、原因の多くは粒度のずれにあります。抽象的な話が続いて動けないなら下ろす(チャンクダウン)、細部の議論で目的を見失っているなら上げる(チャンクアップ)。この上下の移動を意識的に行うのが、この技法です。
| 方向 | 目的 | 効く場面 |
|---|---|---|
| チャンクダウン | 具体化・行動化 | 話が抽象的で行動が決まらない |
| チャンクアップ | 目的・意味の確認 | 細部で堂々巡りしている |
質問例
チャンクダウン(下ろす)
- 「具体的には、どんな場面のことですか?」
- 「たとえば直近で、それが起きたのはいつでしたか?」
- 「明日やるとしたら、最初の1つは何ですか?」
「もっとコミュニケーションを良くしたい」という話は、そのままでは動きません。「誰と」「どの場面で」「何を」まで下ろすと、はじめて行動になります。
チャンクアップ(上げる)
- 「そもそも、それができると何が良くなるのでしょう?」
- 「この件は、何のためにやっているのでしたか?」
- 「一段引いて見ると、共通しているのはどんなことですか?」
やり方の細部で議論が止まっているとき、目的に戻ると選択肢が増えます。「その手段でなくてもいい」と気づくことがあるからです。
このほか、同じ高さのまま別の例に移る「チャンクスライド(横に広げる)」を加えて3方向で説明されることもあります。「他に似た状況はありますか?」がその形です。
注意点
下ろしすぎると窮屈になります。 「いつ」「誰が」「何分」と細部を詰め続けると、相手は詰問されている感覚になります。行動が1つ決まれば十分で、すべてを具体化する必要はありません。
上げすぎるのも同じです。「そもそも何のために働いているのか」まで上げると、目の前の課題が扱えなくなります。上げるのは1段か2段までにとどめるのが実務的です。
判断の目安は、相手の言葉の量です。粒度が合っているとき、人はよく話します。答えが短くなったら、上げるか下ろすかを変えるサインだと考えてください。
