チャンクダウン・チャンクアップ(Chunking Down / Chunking Up)

用語辞典 コーチング技法 よみ:ちゃんくだうん/最終更新:2026-08-26

定義

話の粒度を意図的に動かす質問の使い分け。具体へ下ろすのがチャンクダウン、抽象や目的へ上げるのがチャンクアップで、行き詰まりの打開に使われます。

どういう意味か

チャンク(chunk)は「かたまり」を意味します。話には粒度があり、「チームを良くしたい」は大きなかたまり、「来週の定例で最初の5分を共有に使う」は小さなかたまりです。

対話が進まないとき、原因の多くは粒度のずれにあります。抽象的な話が続いて動けないなら下ろす(チャンクダウン)、細部の議論で目的を見失っているなら上げる(チャンクアップ)。この上下の移動を意識的に行うのが、この技法です。

方向 目的 効く場面
チャンクダウン 具体化・行動化 話が抽象的で行動が決まらない
チャンクアップ 目的・意味の確認 細部で堂々巡りしている

質問例

チャンクダウン(下ろす)

  • 「具体的には、どんな場面のことですか?」
  • 「たとえば直近で、それが起きたのはいつでしたか?」
  • 「明日やるとしたら、最初の1つは何ですか?」

「もっとコミュニケーションを良くしたい」という話は、そのままでは動きません。「誰と」「どの場面で」「何を」まで下ろすと、はじめて行動になります。

チャンクアップ(上げる)

  • 「そもそも、それができると何が良くなるのでしょう?」
  • 「この件は、何のためにやっているのでしたか?」
  • 「一段引いて見ると、共通しているのはどんなことですか?」

やり方の細部で議論が止まっているとき、目的に戻ると選択肢が増えます。「その手段でなくてもいい」と気づくことがあるからです。

このほか、同じ高さのまま別の例に移る「チャンクスライド(横に広げる)」を加えて3方向で説明されることもあります。「他に似た状況はありますか?」がその形です。

注意点

下ろしすぎると窮屈になります。 「いつ」「誰が」「何分」と細部を詰め続けると、相手は詰問されている感覚になります。行動が1つ決まれば十分で、すべてを具体化する必要はありません。

上げすぎるのも同じです。「そもそも何のために働いているのか」まで上げると、目の前の課題が扱えなくなります。上げるのは1段か2段までにとどめるのが実務的です。

判断の目安は、相手の言葉の量です。粒度が合っているとき、人はよく話します。答えが短くなったら、上げるか下ろすかを変えるサインだと考えてください。

『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』書影

もっと体系的に「問う力」を学ぶ

本サイトの原点は、書籍『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』(徳吉陽河 著・総合法令出版)です。質問の背景にある理論と実践を、順を追って学べます。

書籍について見る