GROWモデル(GROW Model)
定義
セッションを Goal(目標)・Reality(現状)・Options(選択肢)・Will(意志)の4段階で進める、コーチングでもっとも広く使われている対話の枠組み。
4つの段階
| 段階 | 問うこと | 質問例 |
|---|---|---|
| Goal(目標) | どこへ向かうのか | 今日の時間で、何が明確になっていたらいいですか? |
| Reality(現状) | いま何が起きているのか | 実際のところ、いまはどんな状況ですか? |
| Options(選択肢) | どんなやり方があるか | 他にどんな方法が考えられますか? |
| Will(意志) | 何を、いつやるか | そのうち、まず何から始めますか? |
使うときのコツ
順番どおりに進める必要はありません。 現状を話すうちに目標が変わることはよくあります。GROWは会話を型にはめる道具ではなく、「いま自分たちはどこを話しているか」を見失わないための地図として使うのが実用的です。
よくある失敗は、Options(選択肢)を十分に広げないままWillへ進んでしまうことです。選択肢が1つしかない状態で決めた行動は、本人にとって「選んだ」ことになりません。最低3つは出す、と決めておくと会話が変わります。
もうひとつは、Goalが曖昧なまま進むケースです。「もっと頑張りたい」は目標ではなく願望です。「今週中に、誰に、何を伝えるか」まで具体化して初めて、現状とのギャップが見えます。
発展形
GROWモデルには、目標設定の前に対話のテーマを確認する段階を加えたTGROW(Topic を追加)や、実行後の振り返りと目標の再設定を組み込んだ循環型の発展形が提案されています。コーチング心理学の立場からは、GROWを一方向の手順ではなく、目標と行動を往復しながら見直していく循環プロセスとして捉え直す議論がなされています。
セッションが1回で終わらない以上、「やってみてどうだったか」から次の目標を立て直す往復こそが実務の中心になります。GROWを一度きりの直線ではなく、回り続ける輪として使ってください。
この概念を使った質問
参考文献
- Whitmore, J. (2017). Coaching for Performance (5th ed.). Nicholas Brealey Publishing.
- Grant, A. M. (2011). Is it time to REGROW the GROW model? The Coaching Psychologist, 7(2), 118-126.
