Iメッセージ(I-Message (I-Statement))
「あなたは〜だ」ではなく「私は〜と感じた」と、自分を主語にして伝える話し方。相手を評価せずに、自分に起きたことを事実として渡す伝え方です。
どういう意味か
Iメッセージは、主語を自分に置く伝え方です。対になるのが「あなたは〜だ」と相手を主語にするYOUメッセージ(Youメッセージ)で、後者は評価や決めつけとして受け取られやすくなります。
親子や教師のコミュニケーション訓練を体系化した Gordon の実践のなかで広く知られるようになった考え方で、現在は職場のフィードバックや1on1でも用いられています。
理屈は単純です。「あなたは配慮が足りない」は反論できる主張ですが、「私は不安になった」は反論しようがありません。自分に起きたことは、自分にしか言えないからです。争点を減らしたうえで、伝えたいことは伝わるという点に利点があります。
言い換え例
| YOUメッセージ | Iメッセージ |
|---|---|
| 「なんで報告しないの?」 | 「連絡がないと、私は状況がわからなくて不安になります」 |
| 「準備不足だよ」 | 「資料を当日に受け取ったので、私は目を通す時間が取れませんでした」 |
| 「やる気がないよね」 | 「最近発言が少ないので、私は何か抱えているのかなと気になっています」 |
対話のなかで使える質問の形にすると、次のようになります。
- 「私はこう受け取ったのですが、実際のところはどうでしたか?」
- 「いまの伝え方で、きつく感じた部分はありましたか?」
伝えたあとに相手の受け取りを聞く一問を置くと、一方通行になりません。
注意点
「私は」を付ければIメッセージになるわけではありません。 「私は、あなたが無責任だと思います」は主語が私でも中身はYOUメッセージです。語るのは相手の評価ではなく、自分に生じた事実(何が起きて、自分がどうなったか)です。
感情を過剰に乗せるのも逆効果です。「私はとても傷つきました」を繰り返すと、相手は責められていると感じ、結果として同じことになります。淡々と述べるほうが伝わります。
使いどころにも限界があります。安全や法令に関わる事柄、明確な指示が必要な場面では、感じ方ではなく基準を伝えるべきです。「私は困ります」ではなく「これは必ず事前承認が必要です」と言い切る場面があることを、混同しないでください。
参考文献
- Gordon, T. (2000). Parent Effectiveness Training: The Proven Program for Raising Responsible Children. Three Rivers Press.
