誘導質問(Leading Question)
質問者が用意した答えへ相手を導く聞き方。形は質問でも中身は指示や同意の要求であり、コーチングでは避けるべきものとして扱われる代表的なNGです。
どういう意味か
誘導質問は、こちらの答えをあらかじめ決めたうえで、相手にうなずかせるための聞き方です。「やっぱりAのほうがいいと思わない?」「そこは反省すべきところだよね?」といった形が典型です。
このサイトでは、誘導質問を技法としては紹介しません。避けるべき聞き方として扱います。他の避けたい聞き方はNG質問集にまとめています。
なぜ問題なのか
理由は3つあります。
1. 情報が取れなくなる
誘導された相手は、自分の考えではなく期待された答えを返します。証言研究の分野では、質問の言い回しによって思い出される内容そのものが変わりうることが繰り返し指摘されてきました。誘導的に聞くと、事実確認の精度まで落ちます。
2. 実行につながらない
同意して決まったことは、本人が選んだことになりません。「はい」と言った翌週に動いていない、という状況の多くはここに原因があります。
3. 関係が壊れる
誘導は相手にほぼ伝わります。「聞かれているようで、聞かれていない」と感じた相手は、次から本音を出さなくなります。信頼関係(作業同盟)を損なうという意味で、コストが最も大きい失敗です。
どう言い換えるか
言いたいことがあるなら、質問の形に隠さず、提案として言うほうが誠実です。そのうえで判断を相手に返します。
| 誘導質問 | 言い換え |
|---|---|
| 「Aのほうがいいと思わない?」 | 「私はAが良いと思っています。理由は〜です。どう見えますか?」 |
| 「そこは反省すべきだよね?」 | 「あの場面を振り返ると、どう見えますか?」 |
| 「やっぱり無理があったんじゃない?」 | 「うまくいかなかったのは、どのあたりからでしたか?」 |
| 「もっと早く相談すべきだったよね?」 | 「次に同じ状況になったら、どのタイミングで声をかけられそうですか?」 |
意見を持つこと自体は問題ではありません。問題なのは、意見を質問の皮に包むことです。提案は提案として出し、質問は本当に答えを知らないときに使う。 この線引きを守るだけで、誘導はほとんど消えます。
注意点
自分では誘導しているつもりがない、というのが最大の難所です。語尾に「〜だよね」「〜じゃない?」が付いていないか、質問の前に自分の答えが浮かんでいないかを確かめてください。
急いでいるとき、相手より知識があると感じているときほど出やすくなります。時間がないなら、質問をやめて指示を出すほうが、双方にとって正直です。
