スケーリング・クエスチョン(Scaling Question)
現在の状態を0から10などの数字で表してもらい、その根拠と1点上げる方法を尋ねる質問技法。解決志向ブリーフセラピーで用いられ、変化を小さく具体化します。
どういう意味か
スケーリング・クエスチョンは、状態を数字にしてもらう質問です。「いまの手応えは0から10でいうと何点ですか?」と聞き、続けて「その点数の理由は?」「1点上がるとしたら何が違いますか?」とつないでいきます。
解決志向ブリーフセラピー(de Shazer、Berg らによって発展した実践)で用いられてきた技法で、コーチングにも広く取り入れられています。狙いは点数の正確さではありません。数字を介することで、漠然とした感覚が言葉にしやすくなることにあります。
さらに重要なのは、0点ではないことに目が向く点です。「3点」と答えた人は、すでに3点分の何かを持っています。「その3点は、何があるからですか?」と聞くと、うまくいっている部分が語られます。問題を数えるのではなく、資源を数える質問です。
質問例
- 「理想が10、まったく手がついていない状態が0だとすると、いまは何点ですか?」
- 「0ではなく4なのは、何ができているからでしょうか?」
- 「4が5になったとき、まわりから見て何が変わっていそうですか?」
- 「今週のうちに、0.5点だけ上げるとしたら何ができますか?」
10点を目指させないことがコツです。目標は次の1点であって、満点ではありません。1点分の変化なら、たいていの人は今週中に思いつけます。
注意点
数字を評価に使わないでください。 「まだ3点なんですね」「先週より下がりましたね」と返した瞬間、この技法は査定に変わります。点数は相手の主観であり、上下しても構わないものです。下がったときは「何が起きたのか」を聞く材料になります。
数字が苦手な人、感情が強く動いている人には合わないこともあります。無理に点数を求めず、「強いて言えば」「感覚で構いません」と添えるか、別の聞き方に切り替えてください。
また、点数を聞いただけで終わるのがもっとも多い失敗です。スケーリングの本体は、点数のあとの「その根拠」と「1点上げる方法」です。数字は入口にすぎません。
参考文献
- de Shazer, S., & Dolan, Y. (2007). More Than Miracles: The State of the Art of Solution-Focused Brief Therapy. Haworth Press.
- Berg, I. K., & Szabó, P. (2005). Brief Coaching for Lasting Solutions. W. W. Norton.
